交通誘導の安全対策マニュアル|心得や必要な準備、注意点な…
技術の進歩でロボットは活躍の場を広げており、警備業界でも導入が進んでいます。警備ロボットは、慢性的に人手不足の警備業界にとって救世主となりうる存在です。
しかし、警備をすべてロボットに任せることはできません。そのため導入にあたっては、現在利用できる警備ロボットがどのようなものか、知っておく必要があるでしょう。
そこで本記事では、警備ロボットに何ができるのか、導入のメリットは何かを解説し、警備ロボットの選び方を紹介します。
目次
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の「NEDOロボット白書2014」では、ロボットの定義を「センサー、知能・制御系、駆動系の3つの要素技術を持つ、知能化した機械システム」と紹介しています(※)。
そして警備ロボットとは、これらの技術を駆使し、事故や盗難などに備えるために利用される機械システムのことです。警備員に代わり、配備された現場で警戒・防護を行ないます。
警備ロボットは、AIやドローンの進化にともなって、2010年代から徐々に実用化されてきました。外国では、警察などの法執行機関でロボットが採用された例もあります。
日本でも、2019年に開催された「G20大阪サミット」において、民間企業から警察に提供された自律走行型の巡回監視ロボットが会場の警備強化に貢献しています。
※参考:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「NEDOロボット白書2014 第1章 ロボットについて」
警備ロボットには、いくつかの種類があります。ここでは、大きく3つに分類して紹介します。
巡回型ロボットとは、設定されたルートに沿って自律走行をし、不審者を検知するなどの決められた対応を行なうポピュラーな警備ロボットです。
機能は機種によって異なりますが、搭載されたセンサーにより異常音・ガス漏れ・火災などを検知して通報する機能などが一例として挙げられます。その他、異常を検知した際のデータの蓄積・送信や顔認証機能を用いた不審者の検知、マップの自動作成と自律移動などが可能な機種もあります。
巡回型ロボットの利用によって、セキュリティレベルをさらに向上させられるでしょう。
なお、巡回型ロボットの多くは屋内用ですが、防水・防塵性能を持つ屋外用ロボットも登場しています。
ドローン型巡回ロボットでは、事前に設定した経路にしたがって自律的に飛行するドローンが、施設を上空から監視します。
地上からは監視しにくい屋上などの巡回ができ、地上警備の死角を補えるうえ、ドローンが撮影した映像をリアルタイムに確認が可能です。
山口県にあるPFI手法の刑務所「美祢社会復帰促進センター」では、2018年3月に日本で初めての実運用となる、ドローン型巡回ロボットの巡回警備がスタートしています。
遠隔操作型ロボットとは、人が無線で遠隔操作するロボットのことです。人間の判断を必要とするような状況下でも、臨機応変に対応ができます。
ただし、1基につき一人の操縦者が必要なため、人件費削減は難しいでしょう。
警備ロボットを導入することで、どのようなメリットがあるのかを解説します。
警備ロボットの導入における大きなメリットは、24時間稼働できることです。
人間は長時間同じ作業をしていると、疲れたり集中力が切れたりして異常を見落とすおそれがありますが、ロボットを利用すれば、注意力の欠如による人為的ミスを減らせます。
また警備ロボットは、警備員の労働環境の改善にも貢献します。炎天下や極寒など人間にとって過酷な環境下での警備や、火災現場での活動、危険な作業などをロボットに任せることで、警備員の負担は大きく軽減されるでしょう。
施設の出入口で不審者などの警戒監視を行なう立哨警備や施設内の巡回警備は、非常事態が起こらない限りルーティンワークがメインです。そのため、多くはロボットに任せられます。
警備ロボットによって、従来警備員が行なっていたレポート作成も自動化できれば、業務の効率化が図れるでしょう。
高度な技術を搭載したロボットを警備に利用することで、より精密な警備業務が行なえるというメリットも見逃せません。
設備機器の発熱を発見するサーモセンサーなど、人の目ではわからない異常を検知できる警備ロボットは、人だけの警備よりも早期に異常を発見できる可能性があります。
ロボットが撮影する画像・映像によって、警備レポートもより正確なものとなるでしょう。
映像記録が警備員の監視モニターにリアルタイムで送信される機種もあるため、警備ロボットの存在自体が犯罪の抑止力となることも期待できます。
警備業界では慢性的な人手不足が問題となっていますが、警備ロボットを導入して少人数でも警備のクオリティを維持できれば、解決に近づくでしょう。警備にかかる人員が少なくなれば、人件費の抑制にもつながります。
また、警備の仕事は労働時間が長くなりやすいため、体力も必要です。警備業務の一部をロボットによって代替すれば人員を削減でき、人手不足の解消につながるでしょう。
警備ロボットを導入する際には、どのような点に気を付けて選べば良いのでしょうか。ポイントを7つ紹介します。
警備ロボットは製品によって、購入する場合とリース契約に分かれます。どの製品を選ぶかは、提供元に見積もりを出してもらって検討する方法が一般的です。警備ロボットは高額なものが多いため、あらかじめ予算を立てておきましょう。
保管場所や待機場所を確保するため、本体サイズを確認しましょう。24時間の稼働を予定しているロボットであっても、停止時や充電時の置き場所に入るかどうか、念のため確認するのがおすすめです。
バッテリーが切れる前に充電スポットに戻れるようにするため、連続で走行できる時間を確認しておきましょう。また、充電に要する時間を知っておけば、稼働スケジュールを立てるうえでも役立ちます。
ロボットが自走可能だとしても、越えられない段差などがある場合は、自分でロボットを持ち上げて移動させなければなりません。転倒したロボットを人力で起こさなければならない場合や、故障で自走しなくなる場合もあるため、重さはチェックしておきましょう。
警備ロボットの機能は機種によってさまざまです。清掃や施設案内など警備以外の業務もこなす機種や、不審者に対して威嚇的な行動を起こす機種などがあり、多彩といえます。
どこまでの役割をロボットに求められるのかを確認し、自社のニーズに合った機能を搭載した機種を選びましょう。ロボットの配置場所や活用方法は機能によって決まるため、十分な確認が必要です。
導入目的によっては、移動速度の確認も重要です。警備ロボットの多くは、最大速度が公開されています。例えば、広い敷地内での警備を任せる場合、ある程度速く移動できる機種を選びましょう。
ただし、速度に関しては安全性を考えることも大切です。周囲の人や障害物を検知して徐行・停止する機能にも注目してみましょう。
警備ロボットでは、屋外でも使えるように防水性能や防塵性能を追加した機種も開発されています。屋外でも使用できる警備ロボットであれば、用途が広がるでしょう。
警備業界、特に巡回警備においては、警備ロボットが人手不足解消の切り札となる可能性があります。ロボットには人のような複雑な状況判断はできないものの、警備の大部分である定型業務を正確かつ効率的にこなすことができます。
警備ロボットを導入する際には価格や機能を比較し、自社のニーズに合った機種を選ぶことが大切です。
この記事をシェアする