交通誘導の安全対策マニュアル|心得や必要な準備、注意点な…
駐車場や工事現場の近くなどで車両や歩行者の事故を防ぐために働く交通誘導。交通誘導を実施するにあたって、交通誘導員の安全対策は必要不可欠です。
車両や歩行者に対して適切な交通誘導を実施することは自身を守ることにもつながります。
この記事では、交通誘導員の方が業務を行なうにあたり、交通誘導マニュアルとして使えるように心得や必要な準備、交通誘導方法などを紹介します。
目次
交通誘導警備は、交通事故のリスクを抑え、交通を円滑にするために必要な警備業務です。
警備員の仕事は業務内容ごとに4つに分けられますが、交通誘導警備はイベントなどの雑踏警備とともに2号警備に分類されます。
イベント会場や工事現場などで車両や歩行者の事故を防ぐことが目的ですが、通行する人や車両だけでなく、交通誘導警備員自身の安全対策も必須です。
厚生労働省「令和5年労働災害発生状況の分析等」によると、警備業の死傷災害は令和5年に2,178人となっており、交通誘導の経験が少ないほど労働災害に遭う可能性が高いとされています。
参考:厚生労働省「令和5年労働災害発生状況の分析等」
また、年々死傷災害の発生状況は増加傾向にあるため、事故の当事者とならないための細心の注意が必要といえるでしょう。
交通誘導では定められたルールがあり、厚生労働省からも交通誘導および車両誘導時の注意点を含めた交通誘導の安全マニュアルが発行されています。
交通誘導警備に携わる際はそちらもチェックしておきましょう。
交通誘導員の安全確保が重要なことは先述のとおりです。ここでは、交通誘導を実施するにあたって、準備しておくべきことをご紹介します。
2号警備にあたる交通誘導では、以下のようなものを装備します。
車両や歩行者を誘導するための誘導灯・手旗や危険を知らせるための警笛、警備員の存在を知らせるための夜行チョッキ、雨の日の業務を行なうためのレインコートも必須の装備品です。
警備にあたる前には、保安用資材の種類や使用方法、使用手順といった知識も習得しなければなりません。
保安用資材とは、以下のようなものです。
また、ショベルローダーやドラグ・ショベル、フォークリフトなど、特殊車両等の特性を理解しておくことも欠かせません。
警備員の基本的な服装や装備に関しては以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてください。
関連記事:「警備員の装備品とは?基本的な服装や業務別の装備品まで解説」
交通誘導警備で現場の安全を確保するためには、警備員は公共の場で通行者に正しい指示を出さなければなりません。
そのためにも、基本的な合図やジェスチャーを把握し、実際に使えるようになることは非常に重要です。
使用する道具はおもに警笛、白手、誘導灯、手旗です。
まずは基本姿勢を覚える必要があります。手旗を使用する合図はおもに「停止」「進行」「幅寄せ」「徐行」「後進」です。
交通誘導の基本的なやり方や旗の振り方に関しては以下の記事でも詳しく解説しています。
関連記事:「交通警備のやり方とは?交通整理との違いや資格についても解説」
交通誘導を行なう際は、事前に関係機関と打ち合わせなどを経て事前準備をすることが大切です。
警備を行なう場所の広さやキャパシティ、時間による混雑状況の変化、動線、来客数などを把握しておくと、実際の警備がやりやすくなります。
警備指令書の内容を十分に確認し、警備の内容や手順、巡回ルートなどを把握、可能であれば記憶します。
また、報・連・相を徹底し、より安全かつ円滑な警備につなげることが重要です。
ここからは、具体的な交通誘導方法を、状況別に解説します。
まずは、基本的な交通誘導の方法からご紹介します。
警備指令書などには、どの位置に何人の警備員が立って警備を実施するのかが記載されています。自分に割り当てられたポジションを確認するとともに、制服は正しく着用できているかなどを確認します。
交通誘導警備員の基本的な装備については、先述しました。当日の警備位置についたら、それぞれの装備がそろっているか、きちんと使える状態かを確認しましょう。
警備員は常に周囲の状況を観察し、何かあればすぐに対応できなければなりません。勤務中は基本姿勢を保ち、てきぱきと行動できるようにしておきましょう。
また、ポケットに手を入れるなど基本姿勢が守られていないと、とっさに動くことができないうえ、歩行者などにも悪い印象を与えかねません。
交通誘導では歩行者などとのコミュニケーションも重要になるため、好印象を持ってもらえるような振る舞い・言葉遣いをすることも大切です。
これらの基本を守りつつ、適切に車両や歩行者を誘導します。誘導時は運転手との目線合わせや手信号、口頭での指示などさまざまな方法で安全に誘導することが必要です。万が一危険が迫っている場合には、大きなジェスチャーで伝えたり警笛を鳴らすなどの対応をしましょう。
緊急時にその場の状況に合わせた臨機応変な対応が求められます。
万が一事件や事故に遭遇した場合には、まずは慌てずに状況を確認します。被害がそれ以上拡大しないように安全を確保し、負傷者等の救護などが必要な場合は実施します。
現場の状況を把握し安全確保ができたら、速やかに上司や関係機関に連絡をします。
交通事故や自然災害、火災など、状況の違いによって対応が異なるケース(現場保存、負傷者の確認、蘇生実施など)もあるため、起こった事象に対して何を行なうべきか瞬時に判断できなければなりません。
また、普段から関係機関への通報手段を理解しておくことも重要です。
トラブル発生時の基本対応としては、以下のような行動が挙げられます。
交通誘導を実施する現場では何が起こるかわからなため、常にトラブルへの対応力を養っておく必要があります。
定期的な訓練、チーム内でのコミュニケーションをとり情報共有をする、安全装備の確認など、日頃から研修や経験を積んで対策を講じることが重要といえるでしょう。
交通誘導を実施する際には、どのような点に注意しなければならないのでしょうか。
交通誘導を行なう際は安全を最優先に考えることが重要です。警備を行なうための安全な位置取り、視認性の確保、明確な指示、危険回避、チームワークなどを常に意識しておきましょう。
また、どのような危険が潜んでいるかを前もって想像し、回避するにはどうすれば良いかを考えることも役立ちます。いつでも「何かが起こるかもしれない」という意識を持ちながら行動したり、警備員自身が適切な休憩や水分補給などをして体調を万全にしておくことなどが重要です。
厚生労働省の交通誘導マニュアルでは、「かもしれない」で危険を意識することが記載されています。それぞれの危険防止ポイントを簡単に解説します。
床に荷物などを置かない。水などで濡れると滑りやすくなるため、床や道路の状態を確認する
停止などの指示を出す際にはゆとりをもった合図を心がけ、警備員が見やすい場所に立って誘導を行なう
日頃からストレッチなどをして体を動かし適度な休憩をとる
こまめな水分と塩分補給をする
転落の危険のある場所には、明るいうちに巡回をする。荷物専用の昇降機には乗らない
車両の運転手から見えやすい位置に立つ。ドアの開閉方向などを確認しておく
不審者へは丁寧な説明を心がけ、直接的な危害を避けるために適切な間合いをとる
これ以外にも警備の仕事では危険な状況に出会うことが多くあります。日頃からトラブルを予測し、防止対策について考えておくことが大切です。
最後に、警備員として働きたい方向けにSPD株式会社の2号警備や働く環境についてご紹介します。
SPD株式会社は、大規模なスポーツイベントや大規模花火大会などの会場において安全の確保とスムーズな開催を支援しています。
計画段階から関係機関との調整を行ない、危険予測や周囲への影響を洗い出すなど、徹底した取り組みを行なっています。
これまでに冬季オリンピックの警備やサッカーW杯の警備、万博などの会場における車両の安全誘導、歩行者の保護などを行なった実績があります。
SPD株式会社のイベント・交通誘導事業についてはこちら
SPD株式会社では、新卒だけでなく中途採用も積極的に行なっていますので、警備業に携わりたい人すべてに入社のチャンスがあります。
経験を積むことで役員などへのステップアップも目指せます。
働きやすい環境が整っているだけでなく、徹底した教育・研修制度が整っているため、未経験からでも安心して働いていただけます。
社員への安全衛生教育も行なっており労働災害の防止にも取り組んでいます。
未経験・無資格からでも警備のプロを目指せるSPD株式会社で、ぜひ一緒に働いてみませんか。
交通誘導では、さまざまな事故や事件に巻き込まれる可能性があります。そのため、歩行者や車両を安全に誘導するだけでなく、交通誘導警備員自身の安全対策がとても重要です。
警備を行なう際には、基本的な交通誘導方法だけでなく、緊急時の対応なども熟知しておく必要があります。
事故が「(起こる)かもしれない」と考え、予測・防止する能力が交通誘導警備員には求められます。
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